木と漆喰にこだわる、大工と左官の職人プロジェクトチームです

2020年09月09日

大工の能力

先日、栃木の宮大工さんとお話する機会がありました。
その中で印象的だった言葉があります、

その宮大工さんが目指すべき姿として
「仕掛けられる大工になれ」と云う言葉を大事にしているとのこと、

この言葉は「現代棟梁 田中文男」という本に書かれている
(「西の西岡、東の田中」と呼ばれるほど、有名な大工の著書)

そこには大工の仕事は能力に応じて8階級に分かれると書かれていて

1、大工としての基本的な技能を持っているか

2、自分の仕事だけでなく、後輩や同僚の仕事の面倒を見てやれるか

3、下職の手配をしてそいつらの面倒を見てやれるか
  
4、仕事の段取りには工期と材料と人の問題があるこれを手配できるか

5、自分でやった仕事、あるいは人に頼んでやった仕事が指示通りに出来上がり
  お客さんに文句を言われずにお金をもらえるか

6、頂いた金を仕事をやってくれた人に払って再生産できるだけ自分に残るか

7、今の仕事も見ながら次の仕事の段取りができるか

8、仕事を仕掛けられるか
売り手じゃ損、買い手に回らなければ
わざわざ頼みに来られるようになれ
つまり売り手が買い手にどれだけ仕掛けられるかということ
DSC_1577.JPG

深い、あまりにも深すぎる言葉、 
あらためて読むと、一つ一つが胸に刺さりますね
この言葉は大工の八階級ですが
他業種でも関係なく言えることのように思えます。

宮大工さん熱いです、凄いです、素敵です。
自分は屋大工として、現場は離れているけど
自分がどの位置にいるのか再認識して
また頑張っていこうと思える夜でした、
ありがとうございました。


引用 INAXBOOKLET 現代棟梁 田中文男 より

posted by ueda at 12:00| Comment(0) | 大工のしごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月26日

構造模型

先日開催した大工の仕事見学会

そこにおいてあった構造模型
この模型は家の骨組みを図面通りに
組み立てたものです。

構造模型は設計士が作るものと思われがちですが
弊社では若手大工に作るよう言っています。
かなり作るのは大変で
初めて作ると5~6日くらい掛かります
慣れてくれば2日くらいで出来ますが
仕事終わりの夜だけでしようと思うと
1週間~10日くらい掛かってしまう大変な作業です
なぜ、そんな大変なことをするのでしょうか?



自分で書いた伏図(構造図)が3Dになった時に
順序良く組み立てられるのか
地獄組になっていないか
大きい材に小さい材が掛かっているか
逆の場合補強は必要か
高さは間違えていないか
他にもたくさんの確認したい所が一目瞭然となるのです

経験の浅い棟梁はこの作業を机上で経験することで
実際の墨付けにもかなり役に立ちます。
また、先輩大工に、ここの部分の仕掛けをどうすればいいか?
というような質問も相手に伝えやすくなります。


墨付けや刻みの時にもこれが手元にあると
頭の中が整理され、間違いにくくなり、
とても心強い存在になります。

こんな手間のかかる模型を何も言わずに作ってくる
棟梁は本気です、真剣です、本当に尊敬します。


もうすぐ、建前 頑張れ!!



posted by ueda at 23:08| Comment(0) | 大工のしごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月19日

追かけ大栓継ぎ

皆さんこんばんは

現在尾崎の家新築工事の手刻みが作業場で行われています。
ですので、今日は大工にまつわるお話
木と木を繋ぐ方法をご紹介します。

木材を繋ぐには大きく分けて2種類あります

@『継手』材を同一方向に繋ぐこと
A『仕口』材と材を90度に繋ぐこと

出来れば一本の木の方が強いのですが、
コストや運送問題などでなかなか厳しくなってきています。
どうしても継手を作る必要があるときは出来るだけその数を減らし、
強度の強い継ぎ手を選定することで家の強度を上げたいと考えます

今回はその『継手』の一つ

追かけ大栓継ぎについてお話しようと思います。
下記 「木造の継手と仕口」という本から抜粋

105009938_1118740718520633_3423567302017059394_n.jpg104147462_267500071128441_2434710471073593451_n.jpg
写真のように上から滑らせるようにはめ込みます、
この時、どちらの材もくっつきあう方向に力が掛かり
強固な継ぎ手となります。
さらに横から締めるように込栓を打ち込み完成です。
土台・桁。梁などに用いられます

一方
プレカットでは腰掛け鎌継ぎと呼ばれる継ぎ手が一般的です。
どんなに大きな材を使っても、この継手オンリーなのです。
そこはかなりの疑問を感じています、
金物で固めるのでオーケーという考えなんだと思いますが
DSC_5056.JPG

単純に腰かけ鎌継ぎと追かけ大栓継ぎとを比べると
約1.7倍くらいの強度が追かけ大栓継ぎにはあると言われています。

材の高さ全体を使う継手なので、大きな部材でもがっちりと組めます。
材が大きくなれば、サイズに合わせて継手の長さも変えています。

20200618_180943.jpg

現在加工中の「追かけ大栓継ぎ」

20200618_175535.jpg

墨付けの通りに加工します。
ノミや鉋、のこぎりなど、いろいろな道具が必要となります

20200618_175542-bd566.jpg

加工も大変になりますが、
強度が高い継ぎ手を使えるのも手刻みの良い所

住まいが長持ちするために、気持ちよく住めるように
出来ることはやっておきたいというのが、
大工の気質なのではないでしょうか。


posted by ueda at 21:23| Comment(0) | 大工のしごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする